◇人生って面白いよね


こんにちは。
朝晩めっきり寒くなってきましたね。我が家はこたつを出しましたよ。

例年ならオイルヒーターも一緒に出すのですが、電気代を食う暖房器具は先日リサイクルショップに売っぱらってしまいました。

寒さが厳しくなればエアコンをつけますが、今年は電気代節約のため、できる限りコタツと湯たんぽ、室内でも暖かい服装で冬を凌ぐ予定です。
ロシアとウクライナの戦争は終わりそうもないし、円安も進む一方だしで、エネルギー価格も一体いつ下がるのやら全く先が見通せませんねぇ。この先下がることあるのかしら…。
ひょっとして、もう世界も生活も元に戻ることはないのかもしれませんね。

便利さや快適さを手放すことに不満を感じない訳ではないけれど、エネルギー不足とエネルギー価格の高騰、地球温暖化対策のため思うように暖房を使えないのは日本だけでは無いと思うと、文句も言えないというか、不平不満を口に出してはいけない気がしてしまうこの頃です。


さて、気候記事が公開されていますので、まだお読みいただいてない方はどうぞ。

こちらから→「この女すげぇ」結婚・出産を経てキャリアを積み上げた、尊敬する友人の転職人生


今回の記事は、わりに最近のことを書きました。
美大で仲良くしていた同級生は他に何人も居たのに、なんだかんだで付き合いが続いているのはレイカ(仮名)だけですね。後は消息不明です。
彼女の方でも、残っているのはユキだけだと言ってました。

初めて会ったのは桜舞う大学1年の春で、お互いに18歳。あれから30年近い時が経とうとしています。


あの頃はお互いに恋愛至上主義で(世の中的にそういう時代だったから)、毎日のように彼氏や合コンの話ばかりしていましたが、今話すのは主に仕事のことと、あとは子供の受験と親の介護問題についてです。

10代から20代にかけては物欲も旺盛で、よく一緒に買い物に出かけたものでしたが、今は「もう欲しいものなんてないよね。最近の流行にもついていけないし」などと言い合い、30代までは二人でエステに通っていたのに、今では美容よりも健康に関心が高くなりました。


「最近、何だか目が悪くなっちゃってさぁ…」

「視力っつーより、ピントが合うのに時間かかるから、物が見えにくいんだよね。特に暗い場所では見えないし」

「分かるー」

なんて会話をしてると、吹き出しそうになります。歳とったなぁと。


でも、歳を取るって面白いですよ。
男の子たちがデレデレと鼻の下を伸ばし、女の子たちからは「ぶりっ子!」だと睨まれていた甘ったる〜い美少女のお嬢様が、まさかこんなバリキャリに仕上がるとは想像つかなかったですからね。

彼女は恵まれた容姿や出自の良さを最大限に利用しつつも、きちんと実力を磨いて勝負してきた人です。
甘やかな外見に騙されるとそうは思えませんが、彼女は賢いだけでなく、実は相当な気の強さと根性もあったのだなと感心させられます。

転職に向けても、数年前から抜け目なく準備をしていました。だから、「今がその時!」と思い立ったタイミングで、あっさり准教授の座を得たのでしょう。


記事にも書きましたが、今の世の中はオーバードクター(大学院博士課程に3年以上在籍した後、就職の意思を持ちながら、定職を得られないまま研究を続けている人たち)が山ほど居ます。
特に人文系は厳しくて、高い学歴と専門性があるにも関わらず、非常勤講師のまま歳をとってしまう研究者が珍しくありません。


そんな中で、大学院に進学しておらず、キャリアはあるけれど学歴のない友人があっさり正規職員のポストを得てしまうことに、少しばかり世の不条理を感じますね。

彼女によれば、大手企業から大学に転職する際、いきなり教授のポジションで迎えられることもあるそうです。長く研究を続けてきた人よりも、社会で実績を積んだ人を大学側が重んじるのは、大学が専門学校化している表れなのだろうかと考えてしまいました。
今の大学って、社会で即戦力として働ける若者の養成所になっているのかなと。

まあ、こんな時代ではそれも仕方がないことでしょう。私も娘と一緒に大学のオープンキャンパスや受験説明会にポツポツ参加していますが、就職率の高さは大学選びで重視するポイントです。


なので、私とレイカの出身大学も、今では受験生が激減しているらしいという話になりました。そりゃそうですよね。美大なんて、卒業しても食っていけないのが前提なのですから。
むしろ、私たちの頃はなぜあんなにも受験生が多く倍率が高かったのか、不思議でしょうがないくらいです。

一言で言ってしまえば、社会全体が豊かだったのでしょう。フリーターでも月に手取りで20万。頑張れば40〜50万円稼げた時代でしたもの。何をやっていても良かったし、夢を追いながらフリーターをするのも一つの生き方でした。バイトしてお金が貯まるたびに海外旅行に出かけて、世界を放浪している人も珍しくなかったです。

もうそんな生き方ができる世の中ではなくなってしまったけれど、そもそもデジタル機器やAIの発達で、「手先の技術なんか磨いてどうするんだ?」という問題も出てきました。

今はスマホで絵が描けるし、そもそも自分で描く必要すらありません。AIに指示を与えれば作画してもらえるのですから、必要なのはアイデアとセンスだけです。
スマホ1台あれば高度な画像処理や映像の制作もできるようになったので、もう美大なんか行かなくたって、誰でもクリエイターになれちゃいますね。


「これからの時代における美大の存在意義って何だろうね?」

なんて二人で話し合いましたが、美大でなくても今後は少子高齢化が一層進むので、どこの大学も経営が厳しさを増すのでしょう。
レイカも、メインの仕事(大学での講義、自分の研究)の他に、受験生を集めるための仕事(オープンキャンパスや、指定校推薦枠がある高校に出張して受験説明会)もしなくちゃならなくて、それが結構大変なのだそうです。

「転職したら、給料は下がったのに仕事量は増えて大変。毎日帰るのが遅くなっちゃう」

とボヤいてましたが、そのうち要領も良くなっていくでしょうし、彼女のことですから多少のことではへこたれないでしょう。
「いつか教育に関わる仕事がしたい」と、何年も前から言っていて、やっと叶えたのですから。

私はこれからもレイカの愚痴の相手をして、「まあまあ。もうちょっと頑張りなよ」と言い続けたいと思います。
そしてもっと歳を取って、色んなことに一段落ついたら、また一緒に旅行でも行きたいですね。