◇パッケージが違うだけの信者ビジネス


こんにちは。
梅雨空に逆戻りして猛暑が和らいだと思ったのも束の間、また暑さが戻ってきましたね。
体が怠くて筆が捗りませんが、ウダウダしているうちに先日出した寄稿記事が早速公開されました。まだ読んでいらっしゃらない方はどうぞ。


こちらから→私はこれまで、折に触れてキラキラ起業を叩いてきた。それがインチキだからである。


公開されてからもう2日経ちましたが、いまだに多くのコメントが寄せられており、そのほとんどが

・自分の身近にもこういう人がいる

・過去に自分もカモられて、悔しい思いをしたことがある

・キラキラ起業ではないが、実によく似た例を見聞きする

というものでした。


予想以上に多くの方々に「知ってる!」「分かる!」と共感していただける話題だったようです。
おかげさまで、なんと「今週の人気記事」ランキングの1位になりました。シェア、リツイートして下さったみなさんのお陰です。ありがとうございます。

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この記事がこれほど多くの方々に響いた理由は、これがキラキラ起業に限った話ではないからでしょう。
スピリチュアル界隈でも見られる光景だし、インフルエンサーを中心としたオンラインサロンビジネスや、男性がターゲットのセミナービジネスでも同様の構造が見られます。


どうしてどれもこれもよく似ているのかと言うと、マルチ商法のやり方を踏襲しているからでしょうね。
マルチ商法は、私が子供の頃には「ねずみ講」と呼ばれていました。大きな社会問題になっていましたが、いまだに無くなっていません。
マルチやネットワークビジネスと呼び方を変え、キラキラ起業のようにソフトなものへとパッケージを工夫しながら、巧妙に私たちの生活に入り込んでいます。


キラキラ起業、スピリチュアル商法、セミナービジネスなど、パッケージにはバリエーションがあるのに中身がほぼ同一なのは、人間の騙され方にはバリエーションがないからでしょう。
みんな不思議なほど同じ手口に引っかかります。そのくらい、マルチ商法は完成されている詐欺のシステムなのですね。


実力も実績も無い人たちが集まって経済圏を作り、ゴミ同然の商品や中身のないサービスを価値と不釣り合いな価格で販売し、仲間同士で称え合い、購入し合いながらぐるぐるとお金を回す。

実社会では全く相手にされない人たちが、世間一般では無名な「すごい人」を作り上げて祭り上げ、そうした人物を中心としたヒエラルキー構造の中で搾取する側とされる側に分かれている。

キラキラ活動は、仲間内のサークル内でのみやっているなら別に構わないのだけど、新規のカモを獲得しようと布教してくるからタチが悪い。
はた迷惑に感じたり、痛々しく思えたり、苦々しい気持ちになる人が少なくないのです。
まあ、中の人たちにしてみれば、新規のカモを引き入れ続けないと破綻してしまうのだから、ご新規さん獲得のために布教活動に精を出すのは当然ですけどね。


私のように表立ってはっきり批判する人はなかなか居ないと思いますが、大人の女子校などに所属してキラキラ起業に興じている方々は、自分たちに冷ややかな眼差しが注がれていることは自覚しておいた方がいいですよ。


誰が見ているかも分からないネットに名前と顔を出し、日々ブログやSNSで自分たちのインチキ具合とバカさ加減を発信しているのは、他ならぬ自分自身です。
自称:起業家であるあなたを興味深く、しかし冷ややかな目でじっと見つめているのは、あなたと同じマンションや隣の家に住んでいるご近所さんかもしれないし、子供を通じたママ友かもしれない。あるいは、旦那様の会社の同僚かもしれません。

「ご活躍の様子を見てますよ〜。すごいですね〜」

という言葉の裏に隠された真意にはバカだと気づきもしないでしょうけど、着実に実生活における社会的評価は低下しており、人生には深刻なダメージが蓄積しています。


キラキラ起業の手口に引っ掛かっているカモさんや、引っかかりそうになっているカモ予備軍の人たちは、一度自分の理性に問いかけてみて下さい。

あなたが「この人は売れてるんだ。すごいなぁ。この人のセミナーやコンサルなら受けてみようかしら」と思うその人が販売している商品やサービスは、本当にあなたの感性で「素敵」と思うものですか?

偉そうに「私がビジネスのコツを教えます!」と言っているその人は、果たして教えを請いたいと願わずにいられないような知的で魅力的な人物でしょうか?


むしろ、「なんでこんなもんがそんなに売れているのだろう。不思議だな」と思うようなチャチなものであったり、「なんでこんな人がコンサルできるのだろう。ますます不思議でしょうがない」と思ってしまうような幼稚な人物では無いですか?
不思議だからこそ、コツを教えてもらいたいと誘惑されるのですよね。
ですが、そのコツは私が解説したとおりです。


「でもっ、◯◯さんは百貨店に出店してるし、そこで「◯◯万円売上げてNO.1になった」って言ってたし!実績がある人だからインチキなんかじゃない!本当に売れている人!

とか思います?

さて、ここで問題です。百貨店への出店が、儲かると思っていますか?
仮にその作家さんが、「百貨店の◯◯マルシェに出店して、NO.1の売り上げを獲得」と宣伝していたとしましょう。

例えば、高いスキルのない作家が既成のパーツをちょこちょこっと組み合わせたプチプラハンドメイドアクセサリーを百貨店で販売する場合、店や催事にもよりますが、売上の2割から3割を場所を貸してくれた百貨店に納めないといけません。出店料であったり参加費が必要なケースもあります。
もちろん、作家も一緒に出るなら会場までの交通費と滞在費は自腹です。出なくても商品の配送料はかかります。
そういった様々なコストを商品価格に上乗せすると、値段が高くなりすぎて気軽に買ってもらえなくなりますから、プチプラのまま販売します。

中国で作られる大量生産品と変わらないようなアクセサリーでも、真面目に作ってちゃんと利益を出そうとしている作家さんがそこそこのお値段で作品を販売している中で、その人だけがプチプラで出していたら安さが魅力になって、それなりに売れますよね。
いくら売れても赤字でしょうけど。


儲からないなら何でそんなことをするのかって?
やだなー、決まってるじゃない。実績作りのためですよ♡


「百貨店で売り上げNO.1の作家」という看板を背負って、カラクリを知らないウブなカモちゃんたちにセミナーやコンサルが売れるでしょ?


「あ、そっか」「言われてみればそうだわ」って思いませんか?
単純なことなのですよ。


キラキラハンドメイド作家さんの中には、「セレブや女優が身につけた」として自身の商品を宣伝している場合がありますが、冷静になって考えて下さい。
お金持ちでゴージャスな暮らしぶりで知られる有名人や今をときめく女優さんが、田舎の主婦が作った数千円のアクセサリーを身につけるなんてあり得ますか?

だから、「セレブが身につけた」アクセサリーの正体は、「セレブが雑誌で身につけていたアクセサリーと同じデザインで作りました」というアクセサリーかもしれませんよね。


そう聞くと、
「やっぱり!何かおかしいと思ってた」

と、思うでしょ。そう思う方はつまり、元々キラキラ起業家の言動を見ながらどこか腑に落ちないような気持ちがしていたということですよね。

その直感は間違っていません。違和感を感じることに対しては、その「なんだか妙な違和感」を大切にして下さい。これまで真っ当に生きてきたあなたの理性と良心が、「なんかおかしいぞ!怪しいぞ!」と警鐘を鳴らしているのですから。


さて、今回は昔の知人に絡まれたのでネタにしましたが、私自身はキラキラ起業にもうほとんど興味がありません。コロナになってからは、キラキラ起業家の皆さんも気軽に集まれなくなって、華やかなキラキラ活動ができてないせいか世間の注目を集めることも無くなりましたしね。

コロナに加えて、中国のゼロコロナ政策やロシアによるウクライナ侵攻、アメリカの金利政策などの影響から、賃金が増えていないのに円安とインフレが加速して、庶民の可処分所得は減っています。

つまり、一般家庭の主婦がキラキラ起業みたいなおままごとで遊んでいられる余裕なんて、もう無いんですよ。これからは新規のカモの獲得がいっそう難しくなるだろうし、もし切羽詰まっている人からなけなしのお金を巻き上げてしまったら、確実に恨まれるのでやめておいた方がいいです。


それでもやめないのであれば、ご勝手にどうぞ。
「目を覚ませ」なんて言いません。叩くことはあっても潰そうだなんて思っていません。

この手の商売は、「バカが自分よりもバカを集めるゲーム」です。
騙されるバカの数には限りがあるので一定の規模以上には大きくなりませんが、この中に取り込まれることでしか生きられないおバカさんも常に一定の数が居て、残念ながらゲームが終了することはないのです。