◇精神世界にはまるきっかけ


おはようございます。
今日も寒いですね。
寒さに震えながら年末年始の準備に追われている間に、もう今年も終わってしまいます。

さて、ブログを書く暇は今日しかないので、今日中に書きたいことを書いてしまわねば。


先ずは、公開された寄稿記事の紹介です。

こちらから→恐怖の「偽装結婚式」以外に多い女性から男性へのセクハラ被害のお話


寄稿記事となると具体的な名前を出すわけにはいかなかったのですが、私の元彼が会員になっていた自己啓発団体は、ライフスペースとホームオブハートです。

ライフスペースは、成田ミイラ化事件を起こした団体で、その団体の代表である高橋弘二は逮捕され、実刑判決を受けています。


私は元彼から高橋の著書を何冊も渡され、読まされていました。
自らを「シャクティパッド・グル」と称していた高橋という男は、彼独自の「定説」を教義としていて、自分は人間を超越した高次元の存在であるので

・体が汚れないのでお風呂に入る必要がない

・必要な栄養素を体内で合成できるので、食べ物はトマトとエビだけ

・血管には空気が流れている

と主張していました。


この時点で十分おかしいのですが、当時の私が引っかかったのはそこではなく、岡本太郎の芸術性を排除して、色使いだけを真似た幼稚な絵を「本物の絵画」としていたことでした。
その本物の絵画の上にダイヤモンドを置くと、ダイヤがキラキラと輝き出すのだそうです。

「そんな訳ねぇだろ!」と思いましたし、百歩譲ってダイヤが輝き出したとしても「こんなゴミみたいな落書きがアートであってたまるか!」と腹が立ちました。


そのような理由から、私は高橋の教義に影響を受けることはありませんでしたが、逮捕された時には驚きましたね。何に驚いたかって、高橋のヴィジュアルの汚さにです。

「えっ?本であれだけ偉そうなこと言ってた高橋っておっさんは、こんなに汚いジジイだったの?」

と、衝撃を受けました。恐らく元彼も驚いたんじゃないのかな。
バブル期に青春を過ごした元彼は、身だしなみに気を使い、お洒落をするのが好きな人でしたから、高橋があんなに汚い爺さんだと知っていれば信者にならなかったはずです。


そして、彼が会員になっていたもう一つの自己啓発団体・ホームオブハートは、XJAPANのTOSHIを洗脳し、搾取していたことで有名な団体です。
団体代表のMASAYA氏は、高橋と違ってこざっぱりした人でしたね。優しげな顔をした悪魔でした。

ホームオブハートとMASAYA氏は、それまでもTOSHIを洗脳したとしてワイドショーに取り上げられていましたが、児童虐待疑惑で家宅捜索を受けた際に全国ニュースになり、大きく騒がれました。


私は彼との交際期間中、ホームオブハートの会誌を読まされ、MASAYA氏のCDを聴かされていたのです。

元彼は当初、「癒されるだろ?これが真の音楽なんだよ」などとほざいてましたが、私にはやっぱりその音楽がゴミにしか思えませんでした。
ですから、彼がうちに持ってきたMASAYAのCDは放りっぱなしで、当時好きだったOASISやOcean Colour Scene、Kula Shaker、ジャミロクワイなんかを聴いていました。そしたら、いつの間にか彼も「イギリスの空気の中では、日本から持ってきた音楽よりOasisの方がBGMに合ってるなぁ」なんて言い出して、Oasisを聴くようになってましたw
揺らぎやすい人だったのでしょうね。


元彼は、高橋やMASAYAの著書の他にも、以下のような本を読み込んでいましたので、誰か一人の教祖を信奉するというよりは、この手の話に弱かったのでしょう。





波動の法則
足立育朗
2017-08-09



私が元彼の自己啓発やスピリチュアルかぶれに、違和感は覚えつつも拒否反応を起こさなかったのは、そもそも1990年代の半ばは精神世界ブームだったからです。
以下の本が世界的にもベストセラーでした。



ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙
ヨースタイン ゴルデル
NHK出版
1995-06-01



聖なる予言 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
ジェームズ レッドフィールド
角川書店
1996-06-21






「自分探しの旅」に出る若者は掃いて捨てるほど居て、自分探しから帰って来れない人たちも掃いて捨てるほど居た時代でした。サイババに感化されて、インドに行った人も多かったなぁ。

高額な自己啓発セミナーも、この時代が全盛期だったんじゃないかしら。


今もそうですが、当時も自己啓発やスピリチュアルは、生きづらさを感じる人たちの受け皿でした。
元彼は11歳年上で、男尊女卑思想の強い人だったため私には偉そうだったし、明るい印象の人でしたから、当時の私には彼の生きづらさが見えていませんでした。


私が彼との別れを決めたのは、自己啓発やスピリチュアルが原因ではありません。
彼の男尊女卑思想に疲れと息苦しさを覚えたからです。

それと、彼の職場での評価が非常に低かったことを彼の元上司から聞かされ、すっかり幻滅したのも心が離れた理由の一つでした。
彼は、私には「イギリスでの仕事は契約満了した。親も帰ってきてほしいと懇願するので、地元で再就職する」と説明していました。
けれど実際は、イギリスに骨を埋めるつもりで渡英していのに、再就職した会社を思いがけずクビになり、日本での家財道具は全て処分済みであったため、実家に帰るしかなかったのでした。


彼と別れた時にはさっぱりしたし、彼が心酔していた自己啓発団体の教祖たちがお茶の間を賑わせた時には、「あんなのとうっかり結婚しなくてよかった。どんな苦労をさせられたか解りゃしない」と胸を撫で下ろしました。
そして、彼との思い出は黒歴史として葬り、振り返ることもありませんでした。


あれから20年以上も経つけれど、最近になり、私は勝彦さんが自己啓発団体に心酔していた理由に思い当たりました。
私は現在、子宮系スピリチュアルの観察を細々と続けています。彼女たちを観察していると、スピリチュアルビジネスに絡め取られる信者たちは、それぞれに「生き辛さ」のストーリーを抱えていることに気がつきます。

さらに、#me too以降セクハラ被害に声を上げる女性たちが増えたことで、元彼の挫折と生き辛さの原因となったのは、ストーカーとセクハラ被害ではないかと考えるようになりました

私自身も若い時にはセクハラ被害に数えきれないほど遭ってきましたし、ストーカー被害に遭った経験もあります。ですが、私の若い頃は、まだそうした行為が犯罪や人権侵害だとされていなかったし、私も自分が被害者だとは認識していませんでした。

女性でもそうなのだから、男性ではなおさらです。


勝彦さんが受けた被害は、現在であれば間違いなく警察が介入し、会社も対処してくれたでしょうが、当時は誰に話してもまともに相手にされないばかりか、「据え膳食わぬは男の恥。一回くらい抱いてやれよ」「モテる男は辛いねぇw」なんて言われて、笑い話にされてしまったのではないかしら。

勝彦さんという人は、とりたててハンサムではありませんでしたが、朗らかでお洒落で、すごく「感じのいい人」だったんですよね。

営業の仕事とかに向いていたと思います。けれど、最初の就職先ではストーカー女に追い回されて、社会人としてスキルアップし、キャリアを築く機会を得られませんでした。


その結果、私が彼と出会った時に働いていた会社でも、「年齢の割に期待したほどのスキルが無く、役に立たなかった」と評価が低かったのでしょう。

勝彦さんは、「俺には女難の相が出てるんだよ〜」なんて笑っていましたが、実際には笑い事ではなく、真面目に悩んでいたから自己啓発やスピリチュアルに傾倒していたのだろうと思われます。

私と交際していた頃の彼は、30代も半ばに差し掛かっており、彼と同学年の友人たちは、会社で中間管理職になり、家庭を持ち始めていました。
ストーカー被害による躓きがなければ、勝彦さんも友人たちに遅れを取ることはなかったでしょう。そう思うと、可哀想な人でした。


今年は直木賞作家の山本文緒さんがお亡くなりになりましたよね。
私は薬師丸ひろ子さん主演のドラマを見ていたこともあり、彼女の作品の中では「恋愛中毒」が印象深いです。


恋愛中毒 (角川文庫)
山本 文緒
KADOKAWA
2012-10-01



この小説が世に出たのは20世紀です。吉川英治文学新人賞を受賞し、ベストセラーになり、ドラマ化もしましたが、この物語が今の時代に受け入れられるかどうかは、ちょっと分からないですね。