◇よくある話も名人が書けば珠玉の一編


こんばんは。
早速ですが、寄稿記事が公開されておりますのでまだお読みでない方はどうぞ。

こちらから→ダメ男との結婚・離婚は後悔しかわけではない〜楊梅(やまもも)の熟れる頃〜


早く寄稿記事の紹介を書かねばと思いつつ、子宮委員長さやりんごが週刊新潮に突撃されたりとか、イケハヤが燃え上がって逃亡したりとか、オモシロネタが飛び込んできたのでついそちらを先に書いてしまいましたw


さて、記事はお読みいただけましたでしょうか?
今回は自分自身の離婚についても少し触っています。
あらかじめ断っておきますが、私の結婚生活が破綻した原因は元夫だけにあったわけではありません。

記事中では、元夫について「転職に失敗してアル中同然」と書いています。実際に離婚前の彼はフリーターになっていましたし、明らかにお酒を飲みすぎてもいましたが、私たちの問題は別のところにありました。
二人の間で埋めようの無い溝が広がった結果として、彼も私もやさぐれてしまったのです。


家庭が壊れていく中で、私の方では、

「私とやり直したいのであれば、お酒に逃げず、遊ばず、わき目もふらずに努力して、成果を出してから家族の前に現れて欲しい。そうしたら見直せるし優しくなれる。」

と考えていました。
けれど、彼の方では、

「生活を立て直すためには、先ずは君が僕に優しくして欲しい。まだ何の成果も出せていなくても、今の僕を受け入れて欲しい。君がそうしてくれたら、ここから僕は頑張れる」

と考えていました。完全に平行線です。


私と元夫はどちらもワガママで甘えが強い末っ子同士だったので、似ているんですよね。

私は私の考える幸せを叶えてくれるパートナーを求めていたし、彼は彼で自分の夢の実現を支えてくれるパートナーを必要としていました。
私にとって心地よい生活は都市部(地方であっても、ある程度の人口規模と都市機能を備える地方都市)でしか成り立たず、夫にとって理想の暮らしと仕事は雑踏から遠く離れた田園地帯でしか実現しません。

私たちは似ているので相手の思考回路は理解できるのだけど、相手の理想に自分を添わせることはできないのです。
もしも一緒にいようとすれば、片方が己の幸せを完全に諦めて、相手の犠牲者となって生きるしかありません。そんなことをすれば、当然のことながら犠牲となった方は不満が溜まり、パートナーを恨み、不幸になっていくだけです。


だから、離婚して本当によかった。
別れたからこそ、私たちはお互いから解放されて、それぞれ自分が幸せだと感じる生き方ができるようになったのですから。

離婚の前後は、元夫のことが大嫌いでした。
離婚には大変なパワーが必要なので、中途半端な気持ちではやり通せないんですよ。嫌い抜いたからこそ別れられました。

けれど、人生の再出発から時間が経ち、満たされた生活を手に入れて落ち着いてみると、過去を見る目も変わります。
今では、元夫との結婚が上手くいかなかったのは、彼が悪かったわけでも私が悪かったわけでもないと考えています。では、何が悪かったのかと言えば、二人の「相性」。
組み合わせが悪かったばかりに、家庭は機能しませんでした。


現在の元夫婦関係はいたって良好ですが、それはお互いに良い再スタートが切れたから。
スムーズに人生をやり直すことができたのは、互いの郷里である高知のお陰。


高知県は太陽の恵み多い土地です。
日差しが強くて、紺碧の空も海も山の緑も眩しく輝いているので、大きな問題も小さく思えてくるし、いつまでも悩んでいるのはバカバカしくなってきます。
南国で悲劇に浸るのは無理ですね。だから大酒飲みの高知県民は、酒には酔っても不幸には酔わないのでしょう。

一番の長所は、庶民の食べ物が美味しいところ。新鮮で美味しい食材がふんだんにあるので、そんなにお金がなくても美味しいものをお腹いっぱい食べられるし、お酒も飲めるんですよ。
美味しいものでお腹が満たされると、生きる力って自然とわいてくるものでしょう?

人も大らかで、よくも悪くもこだわりがなくていい加減。体裁を繕わないから、離婚もオープン。
バツがいくつ付いていても、皆んなあっけらかんとしています。
シングルマザーやシングルファーザー、ステップファミリーは大勢いるのでちっとも肩身が狭くないですし、学校の先生方も対応に慣れていらっしゃって助かりました。

多感な時期に家庭が崩壊したにも関わらず、うちの子達が素直でまっすぐ育ってくれたのは、新しい生活の舞台が高知だったことが大きいです。
もしも実家が高知にではなく、寒くて暗くて世間体を気にする超保守的な地方にあったりしたら、こうはいかなかったでしょう。


貧乏だけれど貧困ではない高知を支えているのは、女達の強さだと私は思ってます。
そんな高知の女達の強さ、逞しさを綴ったのが、こちらの本。


楊梅の熟れる頃 (P+D BOOKS)
登美子, 宮尾
小学館
2017-12-05



宮尾さんの作品は長編ばかりで、読み通すのに骨の折れる小説が多いのですが、これは珍しく短編集でさらさらっと読めます。


今回の寄稿記事は、タイミングよくタイトル通りにヤマモモが熟れる頃に公開されました。
ヤマモモは、高知県の県花で、6月の限られた時期にだけ赤くてコロコロした実をつけます。私も子供の頃にはよく食べました。

丁度いいツイートが流れてきたので、貼っておきます。ヤマモモってこんなのです。


ヤマモモは6月の限られた期間にだけ実がなります。木から取るとすぐに味が落ち、腐りやすいので生のままで輸送や保存するのは難しい。だから他県ではあまり見かけません。

子供の頃には熟して黒ずんだ実を木から直接もいで食べたこともあるけれど、正直言ってそこまで美味しいとも思いませんでした。少なくとも私の好みではなかった。
けれど宮尾さんの本を読んでいると、味を知っているにも関わらず、えも言われぬ美味しさの果物のように思えてくるので不思議です。
宮尾富美子さんの筆の力って本当にすごい。

「楊梅の熟れる頃」で書かれているのは、宮尾さんの身の回りにいた普通の人たちの人生であり、よくある話です。それを筆の力だけで面白く読ませてしまうのだから名人ですよね。


それにしても、古い小説なのにまるで古さを感じないのは、ここに描かれている高知の女性達の生き方や在り様が、今とちっとも変わらないから。

私は和華子さんという高知の女性の話を以前ライフブースターに寄稿していますが、これからも折に触れて、強くて魅力的な土佐の女達の話を書きたいと考えています。