◇武勇伝に圧倒されっぱなしでした


こんばんは。
ちょっと私生活が忙しくて、又してもブログが後回しになっておりました。

寄稿記事が公開されておりますので、まだお読みでない方はどうぞ。

こちらから→金とセックスをほしいままにし、家庭も子供も手に入れた女友達は悪女だったのか〜悪女について〜


今回引用した本については、先日書いた別の記事(藤本さきこ・布ナプキンビジネスのクイーンは今)でも紹介をしております。


悪女について (新潮文庫)
佐和子, 有吉
新潮社
1983-03-29



この本は昭和53年に週刊朝日で連載されたミステリー小説ですが、全く色褪せていません。

Kindle版もあるけれど、紙で読むべき本です。
純文学ではないエンタメ小説といえども昭和の本は薄くありませんから、むしろ紙の方が読みやすいと思います。軽い読み物だとKindleで十分ですが、文章の密度が濃く、何度も前のページに戻りながら読む本は、Kindleだとかえって読みにくくて進まないんですよ。

ですので、ぜひ紙でどうぞ。
令和になってからも重版を重ねているので、皆さんがお住まいの地域の書店にも文庫があることでしょう。


この本は、夫が「あなたが好きそうだから」と買ってきてくれたのですが、読み始めた時に既視感があるなと思ったら、昨年買った湊かなえさんの本に似ていたのでした。


カケラ
湊 かなえ
集英社
2020-05-14



物語の中心に謎の死を遂げた女性がいて、彼女の人生に関わった複数の男女へのインタビューによって、亡くなった女性の人物像と事件の背景を浮かび上がらせる、という手法が全く同じです。
もちろん有吉沢子さんの方が40年以上も前に書いているのですから、湊さんの方が手法を踏襲したのでしょう。

「カケラ」もまあ、それなりには面白かったですが、「悪女について」の方が、圧倒的に文章に厚みと、物語に奥行きがあります。
そして何より、謎の死を遂げた美貌の女実業家・富小路 公子(本名:鈴木 君子)が魅力的なことといったらないのです。

27人分のインタビューで構成されているのですが、読めば読むほど謎が深くなるのは、死因ではなく富小路 公子のキャラクター。平気で人を騙し陥れる悪女なのか、純真無垢な聖女なのか、十人並みでつまらない女だったのか、ハッとするような美人だったのか…。

謎めいた美女というものはいつの時代にも魅力的ですよね。


富小路君子ほどスケールの大きい悪女ではなかったけれど、私の友人の友人だった沙紀ちゃんも又、突き抜けて魅力的な人でした。彼女のすごいところは、自分の魅力を把握し切っているところ。かつ、その魅力躊躇なく利用して己の欲を存分に満たし、全く悪びれないところです。

世の中は優れた容姿と環境に恵まれても、それを生かしきれない人が大半だと思います。でも沙紀ちゃんは違いました。
彼女は自分で自分を利用し尽くす人でしたし、他人を弄ぶことに一切罪の意識を持ちませんでした。
その屈託のなさが、彼女を悪女でありながら聖女たらしめている所以です。


彼女の身バレを防ぐため、沙紀という名前はもちろん仮名ですし、様々な設定を実際とは違うものに変更をしています。
また読み物として面白くするため、時系列の入れ替えも多少しています。

ですが概ね、彼女の人生をそのままなぞって書きました。
沙紀という女性のパワフルさが多少なりとも伝わったでしょうか?


欲望の赴くままに真っ直ぐ生きる。こういう最高にワルくて魅力的な女を知っていると、ドヤ顔で愛される極意やパートナーシップを語る子宮系教祖やモテコンサル連中なんぞは薄っぺらくておかしくて、鼻で笑っちゃうんですよね。( ̄∇ ̄)


記事中に登場する真里(もちろんこちらも仮名)も若い頃にはなかなかの小悪魔でしたし、私の身の回りには個性的で魅力的な女の子が他にも大勢いましたが、華やかさと強(したた)かさという点において、沙紀ちゃんの右に出る者は居ません。


煌びやかな人生を送ってきた彼女が子育てに夢中になるとは全くもって意外なことでしたし、本人が今の人生に満足しているのであればそれで良いのですが、何だかもったいないなぁと思ってしまいます。

けれど彼女のことですから、じきに子供が手を離れ、家にいるのがつまらないと感じるようになれば、きっと又外の世界へとあの溢れるエネルギーを向けるのでしょう。
今後が楽しみです。