◇退路は断つなよ


こんにちは。
寄稿記事が公開されておりますので、まだお読みいただいてない方はどうぞ。

こちらから→副業で収入を得ると同時に承認欲求も満たしたい主婦たちの挑戦〜綴る女〜


これは、私が実際に同僚と交わした会話です。

どう思われます?
キャリアも無い家庭もない40代女性が、今からYouTuberを目指すってため息が出ませんか?(´・ω・`)


ちょうど今朝見ていたNHKニュース「おはよう日本」でも、似たような女性が取材されていてため息が出ました。

コロナ禍における女性の雇用危機についての特集だったのですけど、長年コールセンターや事務の派遣社員として働いてきた42歳の女性が、不安定な非正規雇用の仕事に見切りをつけて退職し、失業手当で生活をしながらWebライターを目指しているということでした。

2ヶ月かけて講習を受け、記事の書き方や写真の撮り方などのノウハウを学び、ライターとして仕事を始めたとのこと。
初めて書いた記事で得られた報酬は3000円あまり。今はできる仕事を増やしていくしかないと考えているそうです。

「いずれはライターの仕事を増やしていけたらなと思っています」

と、お話しされていました。



………。(´;ω;`)


なぜ履いて捨てるほど居るWebライターを今から目指すのか。
特集では、取材した記者の方が「IT関連など、今後もニーズが高まる業種に活路を見出そうという動きも出始めています」と前置きしていたので、てっきり専門的な勉強をしなおして技術系の仕事に転職をするという話かと思っていたら、まさかWebライターとは…。


もうね、番組で言ってた「インターネット上の記事を書くお仕事」は需要に対して供給が多すぎて、ここもレッドオーシャンなのですよ。
蒙古タンメン中本の北極ラーメンくらい赤くて辛い海です。
42歳の素人が今から参入して、ライターとして食っていけるようになる可能性はかなり低いと言えるでしょう。


2ヶ月かけて講習を受けたというけれど、彼女はそれに一体幾らかけたのでしょうか。
初期投資費用が回収できれば良いですが、1記事3000円では回収するまでにも時間がかかりそうですね。

3000円の報酬で食べ物についての記事を書いたとのことでしたが、それって取材費は出ているのかな…。
恐らく出てないですよね。

非正規雇用は不安定だと言っておられて、それはそうなのだけどフリーランスのWebライターはもっと不安定ですよ。
少なくとも失業保険で食いつなぎながら目指すようなものではないです。
どうしてもチャレンジしたいなら、非正規でもいいから定期的な給与収入を確保した上で、じっくり腰を据えて取り組むのがいいと思います。

どうして先に退職をしてしまうのか…。(´;ω;`)



退路を断つことで覚悟を決めた気になるのはバカのやることです!



って拡声器を持って叫びたい。(ノ`Д´)ノ


WebライターでもYouTuberでも目指していいんですよ。どしどしチャレンジしてください。
ただ、初期投資などと言って講座、サロン、セミナー、情報商材にお金をかけてはいけません。

そして、無職、無収入、食わせてくれるパートナーも無しの状態で挑んではいけません。


ゴミ記事量産型のライターやブロガーはすぐに取って代られますが、個性とセンスがあれば息の長い活動ができるので、いつかそれで収入を得られるようになるかもしれません。
けれど、この「息の長い活動をする」のが、実はとっても難しいのです。

すぐに成果が出ないことに取り組むのって、よほど好きでなければ長続きしません。
ハンドメイドブームの時に、短期間で挫折していく「ハンドメイドを仕事にしたい人」を大勢見ました。

誰でも簡単に始められるので挑戦する人は多いのですが、需要は限られており、激しい競争のなかで個性のない素人作品はなかなか売れず、ちょっとぐらい売れても、利益が労働に見合わない。

それでもハンドメイド作家として活動することが好きならばコツコツ続けていけるのですが、ほとんどの人は挫折します。

稼げるようになるには地道に活動するしかないのだけれど、努力をショートカットしようとして「稼ぐための秘訣を教えます」なんて商材に課金してしまうんですよね。
稼いでいるのは、そうした「何者かになりたい」思いを抱えた人たちをカモにする側ばかりなのです。


YouTuberに挑戦するという同僚も、なけなしのお金を吸い上げられるようなことにならなきゃいいなと思います。


さて、今回の寄稿記事で紹介した本はこちらです。


綴る女-評伝・宮尾登美子 (単行本)
林 真理子
中央公論新社
2020-02-18



宮尾登美子の大ファンで親交も深かったという林真理子さんによる評伝で、没後5年以上経ってますが今年出版されました。
私も宮尾登美子ファンなので、評伝ならこちらの本も読んでいますし、


宮尾登美子 遅咲きの人生
大島 信三
芙蓉書房出版
2016-10-17






全集に修められている宮尾登美子の日記も、高額でしたが中古で買い求めて読みました。

宮尾登美子全集 (第15巻)
宮尾 登美子
朝日新聞社
1993-12T



するとね、本当に驚くんですよね。
何にって、宮尾登美子が人として酷すぎて…。( ̄ー ̄)


見栄っ張りで、自分勝手で、無計画に蕩尽し、返す当てのない金を方々で借りまくるのです。
借金返済のために会社勤めをしても、全然真面目に働きません。

再婚した夫の親戚や上司にまで多額の借金の申し込みをしたり、それらを踏み倒して夜逃げするのだから並の神経じゃないと思うのですが、そんな妻に愛想を尽かさず寄り添い続ける宮尾雅夫さんがまたすごいなと思うわけですよ。

いくら登美子が文才に溢れたチャーミングで美しい妻と言えども、彼女のせいで仕事を辞めて夜逃げしなくちゃならなくなったのですから、普通は夫婦の関係にもヒビが入りますよね。
なのに、雅夫さんは妻を責めたりしません。

彼女たちは積み重なって返せなくなった借金のため高知にはいられなくなり、夜逃げして上京しました。
赤貧洗うが如し生活の中で、宮尾登美子が出版の当てのない小説を書き続けられたのは、本人の執念もすごいにせよ、夫が側で励まし続けたからでしょう。


宮尾登美子の原稿は赤が入ることがほとんどなく、編集者に手渡したものが完成形だったのだそうです。
それは、編集者の手に渡る前に高知新聞社学芸部記者であった雅夫さんが原稿をチェックしていたからではないでしょうか。
宮尾登美子は夫を失った後に文章が荒くなり、新しい小説が書けなくなってしまったことを考えても、大きな存在だったのでしょうね。


人間としては欠点だらけでも、夫に「この人を支えてあげたい」と思わせるほどの文才と情熱が宮尾登美子にはあったのです。
そういえば、ハンドメイド作家さんでもセンスが良くて活動が順調な主婦作家さんたちは、旦那さん方が活動のサポートをしていましたね。

パートナーに限らず、周囲の人たちが手助けをしてくれるのは、人の心を動かすだけの光るセンスがあるからなのだと思います。
逆もまた然りで、どれほど本人の鼻息が荒くても、サポーターがいない場合はどう磨いても光りそうにないということなのでしょう。


YouTuberだろうとWebライターだろうとハンドメイド作家だろうと、まずは自分がそれ(動画撮影、文章を書くこと、物作り)を好きかどうかをよく考えましょう。
そして、活動を応援してくれる人が居るか、周りをよく見渡してください。

何より、チャレンジするにあたって退路は断たないように。バンジーなんて飛んじゃダメです。
逃げ道はしっかり用意しておきましょうね。