◇残酷な時間の経過


こんにちは。
梅雨っていつ明けるのでしょうね?

たっぷりと湿気を含んだ空気が重いので、心身も怠く「ブログ書かなきゃ」と思ってから2日目にしてようやくパソコンを開けました。


一昨日寄稿記事が公開されましたので、まだお読みいただいてない方はこちらからどうぞ→ゾウさんパンツとキリンさんパンツとストリッパー兄弟の思い出〜フル・モンティ〜


こちらの記事は、先に公開された「魔性の女に弄ばれた若い愛人男の哀れな記録〜マノン・レスコー〜」と繋がりのある記事です。


公開された順番が逆になってしまいましたが、「ゾウさんパンツ〜」が第一話で、「魔性の女〜」が第二話です。

今回公開された記事は、実は2月の始めに書いたものです。
なかなか公開されないまま半年近くも経ってしまい、正直言って自分がどんな気持ちでこの記事を書いたのかもう忘れてしまいました…



読み返してみたのですが、これはまだコロナ禍前の、イギリスのEU離脱がホットなニューストピックだった頃に書いたものですね。
コロナ前の世界が、なんだかもう随分遠くに感じられます。

この頃はブレディみかこさんの本を読みあさっていたので、彼女の本に書かれたイギリスの惨憺たる有様に衝撃を受けて書いたものでしょう。









私とブレディみかこさんが渡英したのは恐らく同時期です。私は21世期になる前に帰国しましたが、ブレディさんは結婚して、現在に至るまでずっとイギリスに住み続けておられます。

私はイギリスがシティ(金融街)の好景気に沸き、クールブリテンと言われたイギリス文化が花開いていた時期に楽しく過ごしました。
そして、良い思い出と共に帰国した後は氷河期世代の一人として生活に追われ、苦しい時間を過ごし、毎日が精一杯でイギリスへの興味も無くしていたので、かつては福祉国家と言われたイギリス社会が今ではすっかり変わってしまったことを知らずにいました。

私が書いた記事の中に登場するような、まともな就労経験を持たない人たちでも面白おかしく生きていけたイギリスがもう無いのだということに初めて気が付いたのは、こちらの映画を見た時です。

 


今年公開された同じ監督の最新作も早々とレンタルが始まったので、まだ観ていませんが近いうちに観ようと思います。

 


三年前に映画を見て、社会的弱者が見捨てられるようになったイギリスに衝撃を受けました。
そして、去年からブレディみかこさんの著書を順に読んで、いつ頃からどんな風に政治と社会と人々の暮らしが変わっていったのかが分かり、一層驚きました。「あぁ、そんなことになっていたのか…」と。

まあ、今はイギリスだけが問題に苦しんでいるわけではなく、世界中似たようなものですけどね。日本も他人事ではありません。


2つの記事に書いた魔性の女である小夜子さんも、今頃は変わってしまったイギリスで苦しい生活を送っているはずです。

若い頃は息を飲むような美貌の女性でしたが、その後の彼女は美しい歳の重ね方ができず、40歳になる頃には癌を患っています。
癌になったと聞いた時、あまり意外には思いませんでした。何故なら、彼女の生活習慣は若い頃からずっと不健康的だったから。

彼女はボディラインを美しく保つためにトレーニングはしていましたが、20代の頃から歯と歯茎が黒ずむほどのベビースモーカーで、料理が苦手なため、食事はスーパーのデリカテッセンで買ってくるサンドイッチとポテトチップスが主食でした。
自炊は冷凍食品の温め直ししかできません。更に、夫に合わせてベジタリアンでもあったので、摂取する栄養素にはかなり偏りがあったはず。

生活も夜型で、お酒と夜遊びが好きでした。


彼女は運良くまだイギリスが誇るNHS(ナショナルヘルスサービス)が機能している頃に癌の治療を受けることができたので、その時に患った癌は治癒しています。

けれど、NHSは立ち行かなくなりつつあり、もしも又健康問題を抱えた時には適切な治療が受けられないかもしれないなと思います。
もう連絡をとっていませんが、もしもまだ息災であれば彼女はもうじき50歳です。


20代初めの若かった頃の私には、小夜子さんもストリッパーの皆さんも、すごく「かっこいい人」に見えました。連れていってもらったストリップショーも楽しかったです。

メンズストリップは当時とても人気のあるショーで、確か日本にも興行に来ていて話題になっていたし、失業者がストリッパーになる映画「フル・モンティ」もヒットしましたよね。
舞台にもなり、日本では山田孝之さんが主演されています。

この時代の映画は、失業者が主役の話でもちっとも暗くありません。


 


ゾウさんのパンツとキリンさんのパンツは、当時トテナムコートロード駅の近くに「アン・サマー」という名前のセックスショップがあって、そこで売られていた商品でした。

そのお店は、表通りに面したところは普通の若い女性向けの小さな下着屋さんなのですけど、店の奥に細い通路があって、その通路を抜けると奥は広々としたセックスショップになっているのです。
ありとあらゆるセックストイや、ゾウさんパンツなどのふざけた商品が売られているのですが、明るくポップな店構えでいやらしい雰囲気がなく、若い女性やカップルが気軽に入れる楽しいお店でしたね。

当時の日本でアダルトショップといえば、いかがわしさマックスの店構えでとても女性が入れるような雰囲気ではありませんでしたから、そういうお洒落で可愛い大人のお店があることにも「イギリスってすごいなぁ」と、文化の成熟度と性の開放度に感心したものでした。

こんなことを言うのは淋しいけれど、あの頃のイギリスは、もうおとぎ話の世界みたいです。
魔性の女からは美貌と健康を奪い、社会からは余裕を奪う。時の流れは何て残酷なのだろうと思います。