◆怖くて、憐れで、可笑しくて


こんにちは。
すみません、忙しかったのとやる気の波が引き潮だったのでブログを書く気が起こらず、ご案内のタイミングがすっかり遅くなってしまいましたが、Alettaさんへの寄稿記事が公開されていました。


こちらからどうぞ→ベッドの百物語ーロストセカンドバージンー


この物語の主役、「由里子」(もちろん仮名)というキャラクターは実在する人物です。
もう縁が切れていますが、かつて友人として付き合いがありました。

実は、彼女についてはこのブログでも書いたことがあります。2年前の記事です。


こちらから→電車の痴漢にマジ惚れした友達の話をしよう


今回なぜ彼女の話をもう一度ひっぱり出して書くことにしたかというと、以前このブログにメッセージをくださったある女性(Mさんとします)が言っていたことを思い出したからです。

Mさんはこのブログでも繰り返し取り上げてきた「子宮委員長はる」を筆頭にした、いわゆる子宮系スピリチュアルに傾倒してしまった方でした。
勇気を出して上京し、大枚叩いて高額セミナーに参加しようとしていたところ、たまたま私のブログが検索に引っかかり、読んで激しいショックを受けたそうです。
おそらく相当落ち込まれたことと思われますが、「ゆきさんのおかげで人として道を踏み外す前に目を覚ますことができました」と感謝の気持ちを綴ったメッセージをくださいました。


私は今、ブログに頂くメッセージには原則として返信をしておりません。
メッセージは全てありがたく読ませていただいておりますが、今ではメッセージが増えて返信しているとキリがなくなり、負担になってしまったからです。

ブログを書き始めてしばらくはメッセージをいただくことが滅多になかったために、たまにいただくメッセージには全て返事を書いておりました。そのためMさんとも何度かメールのやり取りをしました。

様々な困難があったにせよまだあるにせよ、今は現実から逃げずに地に足をつけ、健やかにお暮らしのことと思います。そう願いたいです。そのMさんが

「ゆきさんのブログはこれからも楽しみに読ませていただきます」

と言っておられたこと、そして、

「ゆきさんのブログの記事の中で、実は電車の痴漢に恋をしてしまったお友達の話が一番お気に入りです」

と仰ったことが頭の隅あり、由里子の話は再度掘り下げて書いてみようと考えていました。
それで、今回編集者さんから「ユニークな記事をお願いしたい」とご依頼いただいた時に、彼女についてもう一度書いてみるいい機会だなと思い筆をとりました。


ただ、由里子の物語は元々Alettaではなく別媒体用に書き始めたものです。由里子の話は語りだすと長くなってしまい、書きたいだけ書くと全5記事程の長編になってしまいます。
そのため「読み切りで」という要望に応えられず、序章だけ書いて出した原稿はボツとなりました。

ただ、「話自体は面白いので、内容を圧縮の上Aletta用に書きなおしてほしい」と再度依頼を受けて、エピソードをざっくり削って1から書き直したものが今回公開された記事です。


ちなみに、公開前に両方の記事を読み比べた夫は

「書き直す前の記事の方が物語の筋が分りやすくて良い」

という意見です。
でも、仕方ないですよね。長編は載せてくれるところが無いんだもの。。。
「由里子の物語」完全版は、とりあえずお蔵入りしておりますが、いつか陽の目を見ることがあるかもしれません。



さて、記事を読んでくださった方はお分りいただけると思いますが、由里子の言動は異常です。
その異常さはどこから来るのかというと、彼女は自分を客観視することができず、自己評価が高すぎるためです。

自分を実際の価値よりも高く評価し過ぎ、自惚れているために現実を見誤り、正しい振る舞いや人間関係における計算ができず、その結果他者との間に軋轢を生じます。

由里子は「私はモテる!」と言い張っていましたが、確かに見た目は年齢の割に若々しくて綺麗なので、男が寄り付かないわけではありません。
けれど、どの男ともデートする前に逃げられるか、1回デートしたら終わり。関係を発展させられず二度目のデートに結びつかないのです。

「私は仕事が出来る!」とも言っていましたが、本当に彼女のいうように「私は正社員以上に仕事が出来るから、職場では一目置かれている」のであれば、何故社員に昇格の声がかからないのでしょう。
彼女はどの職場でも同性の同僚たちとの関係が次第に悪くなり、居心地が悪くなるため長続きせず、派遣先の変更を繰り返していました。


原稿を読んだ夫からは、

「こう感じるのは俺だけじゃ無いと思うけど、あなたはどうしてこんなのと友達だったの?」

と突っ込まれてしまいました。

う〜ん。なんで友達だったかと問われても、説明が難しいんですよね。


そもそも由里子と最初に出会ったのはお互いが20代の頃で、まだ若かったのです。
若い女は多かれ少なかれ、誰しもがちょっと鼻持ちならないような傲慢さを持っています。自分の若さと未来における可能性に少なからず自負があるから。
なので若さの中にいる間は由里子の自信過剰さもさほど目立っていませんでした。

次に、由里子は一目見た瞬間に脳裏に焼きつくほどの美貌ではなかったし、見るものの心にさざ波をたてずに居れないような色気のある美女でもありませんでしたが、整った顔立ちの美人でした。そして、学歴も高かったのです。

容姿の整った人物が絶えず自信に満ちた笑みを浮かべ、さも自分が正しいかのような態度で話をするのですから、対面で話をしているとその雰囲気に飲まれてしまいます。
それこそ、私に限らずなのではないでしょうか。

今でこそ私も40代半ばに差し掛かり、様々な経験を得て捻くれた大人として仕上がったので、相手の言うことを鵜呑みにはしなくなり、少しでもおかしいと思ったことには臆せず声を上げ指摘するようになりましたが、若い頃にはそうではありませんでした。

「なんかおかしいな」と感じても、相手に押し切られると「私の方が間違っているのかな?」と自信がなくなってしまったし、
「それは明らかにあなたが変だろう」と分かっても、「きっと本人が失敗から学び、間違いに気づいて態度を改めるはず」などと考えてしまったのです。


「自分で自分のことをすごいと自画自賛するような奴はろくな奴じゃない。普通は近づかないものだ」

と夫は言いますが、それはまあ、私が普通じゃないのかもしれません。
ちょっと興味が湧いてしまうのですよね。「一見魅力的で、実は中身が破綻している奇妙な人物」に対して、面白がるようなところが私にはあります。それがネットウォッチングや人間観察という趣味に結びついているのでしょう。


次回、「ベッドの百物語ーロストセカンドバージンー 後編」では、由里子がついに念願叶って男に抱かれ、セカンドバージンを捨てる経緯について書きますが、彼女はホテルのベッドへ行き着くまでの間にも、一夜を過ごした後にも「やってはいけないこと」の連続ヒットを放ちます。

次号で話をどうにか終わらせないといけないので、エピソードの全ては書けませんし、話の着地点をどこへ持っていくのかまだ悩んでいるところです。

記事の公開は恐らく来月下旬になると思いますが、それまでどうぞお待ちください。