◆遅咲きの桜散る


こんにちは。今日はぶるっと震える寒さです。私が住んでいる地域も花散らしの雨が降りました。
久しぶりに予定のない1日なので、ぬくぬくとこたつに入りながらゆるゆるとブログを書くことにしました。


このところ仕事が忙しかったし、一段落したと思えば子供が春休みだしで、自分のための時間が取れずにブログは放ったらかし。
けれど、趣味のブログなので時間や気分の都合で書けない時には書かなくていいのです。
PVが下がろうがアドセンス収入が下がろうが知ったこっちゃありません。書けない時には書けないのですから。


先日、「ブログで稼ぐ!」ことを目指している鼻息荒いママブロガー3人による鼎談(ていだん)記事がたまたまTwitterのタイムラインに流れてきたので、読んでみました。

みなさん乳幼児の育児中だと言うのに、子供がお昼寝しているわずかな時間や、子供が寝てから毎晩深夜1時〜3時まで睡眠時間を削って作業しているというのだから、「すごいなぁ〜」と素直に感心すると同時に、「よくやるよなぁw」と斜に構えて笑ってしまう。

もちろんその原動力は、毎日家で家事と育児だけをする生活への苛立ちと焦りからくるものだと知っているし、自分自身が通った道でもあるから切ないのだけど。


私もキラキラ起業女子としてブログを毎日更新することに取り組んでいたことがありますが、毎日書くって大変です。一般人の生活では、そうそう毎日筆を取らずにいられないような劇的な出来事などあろうはずがありません。
それなのに無理して書こうとするものだから、胸の中や親しい友人とのお喋りにとどめておくべき私生活をネットに公開し、これまでの人生と人間関係を切り売りしたり、自分の思想・主義についても同じ主張を繰り返したりして、薄くて浅くて似たような内容が繰り返されるだけの記事をぐるぐる書いてしまうんですよね。
分かるわぁ〜。(経験者談)

しかも、この方々はアフィリエイトで広告収入を得るためにブログを書いているので、広告に合わせた宣伝記事を書かないとブログの意味がありません。
そして、そうしたアフィリエイトを主目的とした記事は全国に競争相手が無数に居り、商品に関連するキーワードで検索上位表示を獲得するため相当知恵を絞らねばならず、しんどいと思います。


で、結局のところ月30万円の収入を目指しても、ブログから広告収入を得るだけでは到底目標金額を稼ぐことはできないという結論に達して、PVや成果自慢という分かりやすい釣り餌を下げてフォロワーを獲得し、オンラインサロンを運営したり書籍を出すことで、ファンから集金して収入に繋げたい模様。
なんだ、ママブロガーってキラキラ起業女子とほぼ同じだなw


オンラインサロンかぁ〜。
私は思うのですが、あれって園の保護者会やPTA役員を一人で全役務めるみたいなものですよね。
自分と似たような主婦でグループ作って、その中でボスママとしてみんなをまとめて会を運営していかなくちゃいけません。責任者として連絡をまめにして、広報して、イベントして、皆の要望や不満を聞いて、収支を計算して、雑務も多く労力が半端ない。

保護者会やPTAはボランティアだからほとんどの人はやりたがらない訳ですが、お金をもらったとしても大変な仕事であることに変わりはありません。
あまりに面倒だからサロン主催者は次第にサロンを放置するようになるのでしょう。


ブログの書籍化といえば、私も様々なメッセージをいただきます。
読者が増えたことで、アフィリエイト業者から「ぜひ我が社に登録して、ゆきさんのブログに広告を貼っていただきたい」とか、「新しくブログランキングサイトをリリースしたので登録してほしい」だとか、「インフルエンサーのみなさんがファンイベントを開催するマネジメントをしています。都内どこそこの会場でいついつゆきさんのイベントを開催できます。つきましては近日中にこちらの番号までにお返事ください」とか、「ぜひ書籍化のお手伝いをしたい」などというメッセージもしばしば届くようになりました。

私は自分のブログが書籍化できるような内容でないことは分かっていますし、表へ出るつもりがないのに読者との交流イベントなどやりたいはずがありません。
私のブログをろくに読みもしないで、一方的に「連絡してください」というメッセージには毎回面食らってしまいます。



連絡をして私になんのメリットが?



彼らは「ファンイベントのお手伝い」だの「出版のお手伝い」だのと言って、マネージメント料やコンサル料がお目当てなのでしょう。
世の中には今や「ブログでインフルエンサーになりたい人」が大勢います。ということは、そうした人たちを相手に商売をしたい人も相当数居るのでしょうね。
ママブロガーさんたち飛びつきそう。


しかし、件のママブロガーさんたちは「収益を報告したらイケハヤさんに取り上げてもらえてフォロワーが増えた」と喜んだり、「マルチな活動をしてマネタイズしたいから、目標はあちゅうさん」だと言っていたりで、「なるほど、こういう層の人たちがTwitterでせっせとイケハヤに媚を売ったり、はあちゅうを持ち上げたりしているわけか」と納得。これにも斜め上から苦笑いw

しかし、肩書きは「作家」のはずのはあちゅうさんですが、彼女に憧れるファンの人たちが語るのは「彼女が書くような作品を私も書きたい」ではなく、「彼女のようにして稼ぎたい」だから、ファンにとってさえ印象の薄い小説が世間で認められる日が来るのは遠そうです。


そういえば、先日彼女がインスタに投稿した漫画に「私は旦那に愛されているから平気。アンチは無視。批判よりも応援の方が多い」といった内容のがあったようで、これもTwitterでスクショが流れてきました。

そりゃあ、あれだけ「自分にとって都合の悪いことを言う相手はアンチに限らず同業者やファンであっても容赦無くブロック」を徹底していれば、応援メッセージしか視界に入らなくなるでしょう。
そうやって彼女が接する世界が少しずつ小さくなり、視野が狭なくなっていく様子はマトリョーシカを思わせます。

彼女の器はマトリーシカ。
最初は大きなマトリョーシカに大勢の人たちと入っていたのに、炎上するたび都合の悪い人を追い出して一回り小さなマトリョーシカに入り直し、それを繰り返してマトリョーシカはどんどん小さくなっていく。
最後には自分一人しか入れないほど小さなマトリョーシカに閉じこもることになるのでしょう。


しかし、一連のファッション妊活炎上騒動の際に、はあちゅうさんが目標としているのは林真理子さんだと目にして、興味が湧いたので久しぶりに林さんの本を買いました。

林真理子さんのエッセイや小説は私も好きです。

古い本になりますが、私が一番気に入っていて本棚に入れているのはこちら↓。


20代に読みたい名作
林 真理子
文藝春秋
2002-10



林真理子さんのファンは友人知人にも居るため、自分で買う以外にも何十冊と貸してもらって読んできたのですが、彼女の出世作「ルンルンを買っておうちに帰ろう」は手に取ったことがありませんでした。





ロスジェネの私には、「バブル時代の話なんて読んでも面白くなさそう」という思い込みがあったのでしょう。
今まで食わず嫌いだった本のページをついに開いてみると、なるほど露悪的で、煙がもうもうと立ち上る焼肉店で霜降りの和牛特上カルビをこれでもかと言うほど食べさせられたような読後感でしたが、あの頃東京で沸騰していたバブルの熱と林真理子さんの若かりし頃の勢いを感じることができて、とても楽しく読み進めることができました。

この本を読んだことで、「なるほど。はあちゅうさんの主義主張はこの時代の林真理子さんにかぶれたもので、彼女の名言とされるものは林さんの受け売りだったのか」と知りました。

林さんの場合は野心や欲望を隠すことはないけれど、いかに自己愛が深くともいい子ぶろうとすることはありません。一方のはあちゅうさんは、言っていることは林さんの丸パクリでも、何かにつけていい子ぶろうとするから鼻につく。
同じことを表現するにも筆力の差があるだけでなく、「世間に向けた態度」が違うのですね。


林さんには人間の表裏を容赦なくえぐり取る観察眼があり、それがきっちり自分にも向けられているからこそ登場人物の心理描写が鋭く、軽いエッセイから深みのある小説まで書けるのです。

林さんと違いはあちゅうさんが自分に甘いのは、自分を客観視する目を持っていないから。他人の痛みが分からないのは他人に注意を向けないから。
批判が聞こえないように世間に背を向けることで、いつしか社会の潮流と世論の風向きが読めなくなり、時代の波に乗っていたはずが転覆して波に飲まれてしまう。

彼女の出版物はもれなく駄作ですが、リアルタイムであがき波に浮かんでは消える様を見せてくれる生き様が、一級のエンターテイメントとして成立しているのだから面白い。


そして、数日前に娘の買い物に付き合って立ち寄った書店でも林真理子さんの最新刊が目に入り、紙で本を買いました。


マリコを止めるな!
林 真理子
文藝春秋
2019-03-29



「ルンルン〜」をよんだ直後に最新刊に取りかかると、落差に驚いてしまいます。
35年の月日が流れているのですから当然といえば当然ですが、林さんも今は還暦を過ぎ、脂がこってりと乗った霜降りカルビの焼肉を思わせた文章が、赤身肉であっさりとしたローストビーフの味わいになっている。

かつての強烈な自己主張は鳴りを潜めて、今は自分がどうやって他者に貢献できるかを考え、年齢を重ねて体力が落ちたことを嘆き、自分と時代を分かち合った往年のアイドルや友人知人が亡くなっていくことに涙し、出版不況で原稿料が20年前と変わらないこと、話題になった新聞小説が思ったほど売れないこと、馴染みの書店が次々閉店していくことに胸を痛めている。

NHK大河を手がけ、日経新聞に連載小説を持ち、「元号に関する有識者懇談会」にまで出席したベストセラー作家であっても今は著書が売れないと言うのだから悲しい。

紙に印刷された活字が消えゆくのは、かつて書店に勤めた私にとっても胸が裂けるような思いがしますが、それでもやはり時代は後戻りしないのです。


時間が過ぎた時代に戻ることはないけれど、ものを書き発表する媒体や環境がいかに変わり行こうと、林さんの筆は進んで欲しい。

林さんは今、小学館のqui-la-la(きらら)という小冊子で「私はスカーレット」という、「風と共に去りぬ」を原作とした小説を連載中で、私はそれが単行本になって発売されるのを楽しみに待っています。



風と共に去りぬ 第1巻 (新潮文庫)
マーガレット ミッチェル
新潮社
2015-03-28