◆ヒルナンデスのハンドメイド企画を見て


はぁ〜、あったかいなぁ。陽射しが暑いくらいのいい天気。
もうじきゴールデンウィークだっけ?

と錯覚してしまうほどに、ここのところ気持ち悪いくらいに暖かくて、温暖化でこの世が終わるんじゃないかと本気で恐ろしくなりますね。

散歩に出たらチューリップでも咲き乱れてるんじゃないかと思える陽気です。今は師走ですよね?


今のところ冬に備えて秋に買い込んだ防寒グッズたちの出番がちっとも来ませんが、寒くはならなくても時間は過ぎていくので、年末年始に向けて様々な準備をしています。

このブログも年内の更新はあと2〜3回でしょう。


さて、昨年末にハンドメイドマルシェの手伝いを卒業し、ハンドメイドネタについて書くことももうないかなと思っていましたが、少し前にヒルナンデスのドケチ隊員コーナーが炎上していましたよね。
すっかり遅くなりましたが、その時に思ったことを書いておきたいと思います。

10月下旬から11月にかけて、Twitterでもハンドメイド作品の原価についてとか、ヒルナンデスのハンドメイドの紹介の仕方がひどいとか、ハンドメイド作家さんたちの悲鳴にも似た声が上がっていました。

詳しくはこちらの記事をどうぞ→「ハンドメイドは手軽、稼げる」メディア紹介に作家らから危惧の声


私も様々なジャンルで作品作りをしている作家さんたちをフォローしているため、一時期タイムラインがヒルナンデスの話題で大層賑やかでした。

普段お昼の情報番組は見ないのですが、何がどうしてそんなに炎上したのか興味があり、私もヒルナンデスを見てみました。ドケチ隊がレジンアクセサリーを製作していた回です。
先日のハーバリウムを作る回は最後の方しか見れませんでしたが、それにも苦情が殺到したようですね。

詳しくはこちらから→「ヒルナンデス!」炎上続きのハンドメイド企画にまた苦情殺到 売り手には死活問題か


炎上しようとも同様の企画が続いていると言うことは、苦情の声も大きいけれど、反響が大きく視聴率の稼げるコーナーなのでしょう。
ハンドメイドに限らず、パートと掛け持ちできる副業を探している主婦や、今は育児に専念中だけれど、自宅で子供の面倒を見ながらできる仕事で自分自身の収入を得たいと模索している主婦が全国に大勢いるからでしょうね。


私はレジンアクセサリーと流木雑貨作りの回を見て、素直に感心しました。
講師として出演していたハンドメイド作家さんたちが賢いと思ったからです。
それぞれお勤めに出て月給をもらう仕事をする傍ら、家事育児仕事こなしてさらに余る余力の範囲内で、趣味を活用しながら上手にハンドメイドで福収入を得ていらっしゃる。

ハンドメイドで稼いだ最高の月の売り上げは20万程度ということでしたが、数字の裏を読めるか読めないかで印象は違うでしょう。
私もアクセサリーや雑貨などを作って販売していた経験から、月20万が不可能ではないことを知っています。私自身も売り上げの最高額は20万円ほどでした。
そして、その20万円が「利益」でないことも分っています。


ハンドメイド作品を販売するには、まず材料を仕入れ、それを加工して商品を作り、イベントに出店して自ら販売するか、もしくはネット上のハンドメイドマーケットプレイスやフリマアプリで販売しなければなりません。

イベントに出店するには出店料と交通費がかかり、テントやテーブル、ディスプレイ用の什器が必要で、商品を魅力的に見せるためにはディスプレイにも工夫を凝らさねばならず、対面販売ですから接客のスキルもなければ物は売れません。

かといってインターネットでの販売では、全国のハンドメイド作家との熾烈な競争を勝ち抜かなければ、作品を見てすらもらえません。
自分の作品ページにお客さんを誘導するためには、ハッと目を引くような素敵な写真を撮り、魅力的な宣伝文を書き、質問やご要望があれば対応し、丁寧に梱包して、迅速な発送を心がけなければ高い評価は得られず、ネット販売を続けていけません。

ここまでの努力があった上で、ようやくハンドメイド作品は売れるのです。


例え20万円の売り上げがあったとしても、材料費や諸々の経費を引き、さらに次の仕入れのための費用も引いたら、手元に残るお金は数万円です。
利益として残るお金を制作と販売にかかる時間で割れば、時給は最低賃金を大きく下回っていることでしょう。

何より、「最高で」20万円と言うことは、それに届かない月の方が多いと言うことです。

実際にやってみるとすぐにわかることですが、ハンドメイド作品はよく売れる月とそうでない月の差が激しい。
作る作品にもよりますが、入園グッズであるカバンや布小物を作る作家さんであれば、注文は入園入学シーズンに集中しますし、高価格帯のアクセサリーやインテリア雑貨を作る作家さんであれば、ボーナスやクリスマスシーズンが書き入れ時でしょう。


番組では放送されない作家さんたちの地道な努力を知らず、売り上げと収入の違いも分からないような人には、「主婦が簡単にハンドメイドで20万稼げる」と誤解してしまうと思われ、実際そのように誤解を与えてしまうところを批判されているわけですが、その問題をまるっと無視して単純に主婦の副業として考えると、自宅で出来る物作りで月数万円の副収入があるのはいいなぁと思えました。

もしもパートの収入が月10万円前後あるとして、ハンドメイドで得られる収入も3〜5万円程度あるとしたら、素晴らしいじゃないですか。
月3万円の差は大きいですよ。
3万円を家計の足しにできるとしたら、子供を塾や習い事に通わせられたり、家族でたまには外食できる余裕が生まれます。

あるいは、パートの月収は全額家計に入れる代わりに、副業収入は全額を自分のお小遣いにして、仲のいいママ友と豪華なママ友ランチに出かけたっていいし、綺麗でいるために洋服や化粧品を買うのもいい。

将来に備えて貯金したっていいわけです。

どのような使い方をするにせよ、副業収入3万円があるのとないとじゃ生活と心のゆとりが大違いですよね。



しかも、ハンドメイドの作品販売という小さな商売から得られる知見は大きなものです。少なくとも私にとっては大きかったと言えます。
たった一人のスモールビジネスであっても、自分で商売をしてみると経営者としての視点が持てるし、0から価値を生み出し、自分でお金を稼ぐことの難しさを知ることができました。
それは、勤め人として雇われ、決められた役割で言われた仕事をこなすだけでは見えてこないものが見えるようになる貴重な経験でした。

収支を計算するため経理や簿記についても勉強したことで、多少なりともお金のことも分かるようになり、そのおかげでキラキラ起業家やオラオラ虚業家たちの、見せかけは華やかでも内情は火の車だろうという裏が読めるようになったのです。

私は作り手としての才能が足らず、商売のセンスも無かったことからハンドメイド作家は廃業しましたが、その経験を通して培った「物事の裏を読む力」でこうしてブログを書くことができています。


私はかつて、多くの女性たちにとって、ハンドメイドを本業に出来るように、せめて副業として成り立たせられるようにしたいと考え、ハンドメイドセミナーを招致したりして、セミナービジネスとキラキラ起業に片足を突っ込みました。

セミナービジネスの実態に気付いたためいち早く手を引き足も引っこ抜きましたが、あの当時は佳境に入ったもぐらたたきゲームのように自称ハンドメイドコンサルタントが四方八方から現れ、ハンドメイドセミナーから個人コンサル、オンラインサロンへの誘導が活発に行われていたものです。
ハンドメイドブログや作家の裏ブログなども盛況でしたね。

ブームの落ち着きとともに喧騒も去りゆきましたが、ヒルナンデスを見ていて、「ハンドメイドはちゃんと主婦の副業として定着したんだな」と、なんだか感慨深い気持ちになりました。ブームなんて関係なく、手作りが好きな皆さんが頑張ってきたからですね。

もしもハンドメイドを本業にして物作りで食べていこうとするなら、ヒルナンデスで紹介されていたような安っぽいアクセサリーや、誰でも作れる雑貨を作っていたのでは無理です。

クリエイターとしてのセンスと、職人レベルの圧倒的な技術がなければ、プロの作家として長く活躍することはできません。

けれど、本業を目指すのではなく副業としてなら、ハンドメイドは誰もが気軽に始められます。
可愛いが詰まっていたり遊び心の溢れたプチプラアクセサリーや、ちょっと飾っておきたくなるような雑貨を楽しみながら作って、それを販売することで稼げるお金と生まれる余裕があるのなら、魅力的な仕事だし副業としてチャレンジしてみる価値は十分ありますよ。


「ハンドメイドは簡単に稼げないんだぞ!」

「簡単に作れるなんて思ってもらっちゃ困る」



というお声はごもっともで、共感します。
春日さんや松本明子さんの作品が売れるのは番組の御膳だてがあるからであり、あれをそっくり真似しても鳴かず飛ばずでガッカリするでしょう。

だからこそ、実際には簡単に出来るものじゃないということを知ってもらうためにも、番組に刺激された多くの人がハンドメイドを始めるのはいいことだと思うのです。

そして、新規参入する方々にくれぐれも肝に命じていただきたいのが、自分の思うように売れないからといって



セミナーを受けない



ことです。
あれは役立たずです。

悩める者が交流する場にはなりますし、志を同じくする仲間も出来るでしょうから、何の役にも立たないということはないのかもしれません。

けれど、ハンドメイドで身を立てたいと夢見る作家にとって、ハンドメイドセミナーや起業セミナーで望む答えは得られません。
「セミナーでは答えが得られない」という答えが得られれば学びの場となるでしょう。
もちろんそれを学んで、2度とセミナーには参加しない聡明な人がほとんどだと思います。

けれど、一部に「参加費の安いセミナーでは十分では無かった」と感じて、「売れる秘密」や「成功の秘訣」を伝授してもらうためにより高額な個人コンサルを申し込んだり、高額ではないけれど毎月お金を落とさせる仕組みのサロンに誘導されて、総額で数十万もの大金を「先生」に貢いでしまう人たちが居るのです。


ハンドメイドの世界では、クリエイターとして才能と技術を持ち、かつ自営業者として商才も兼ね備えたプロフェッショナルになれるのは、選ばれた一握りの作家だけ。
そうした才気あるれる方々にとって、物作りで成功できずコンサルで商売しようとするような作家崩れの凡人から学ぶことは何もありません。

そして、選ばれなかったその他大勢の「物作りは素人で商売は初心者」の主婦たちが副業として手がけるハンドメイドでは、現実的な目標は月5万円の売り上げ、3万円の利益です。
これくらいなら指導など受けず自己流でやっていても難しくありません。

この数字ですら始めてすぐには難しいのですが、ハンドメイドが好きで、楽しみながら作り続け、イベントに出たりネットに出したりしながらコツコツと経験を積んでいけば、いつの間にか目標達成できているはず。
もしも途中で挫折してしまうとすれば、原因は「お金を稼ぐ」ことを目的にしていて、物作りが好きなわけではないのですから、向いてないのでやめたほうがいいのです。


月3万円を稼げるようになった場合に、ハンドメイドから得られる年収は36万円です。

それなのにハンドメイド作品の販売を始めるためにセミナーやコンサルを受講し、人脈を広げるためや仲間との交流のためお茶会やランチ会に参加していると、36万なんてあっという間に消えて無くなりますよ。
そう考えたらセミナーに何万円もつぎ込むなんて無駄な初期投資はできないはず。


仮に、自己流で頑張っても月3万円しか稼げない。もっと稼ぎたいと本を出している先生のコンサルを受けて、月3万の利益だったのが5万円になったとしましょう。

それって喜べることなのでしょうか?

よく考えてみてください。
売り上げが月2万円アップして5万円稼げるようになったとしても、年収は60万円です。
たかだか24万円増収するために個人コンサルを受け、オンラインサロンに入会し、自分の作品を買ってくれるサロン仲間の商品やサービスをお付き合いで購入し、先生や仲間たちとオフラインで交流するためにお出かけもしていたら、積もり積もって年間軽く50万円以上は使うことになりますよ。
キラキラ起業に何十万何百万とキラキラ活動経費がかかるのは、これまでに何度も言及してきた通りです。

実質的に手元にはお金が残らないばかりか下手したらマイナスなので、先生のコンサルや仲間とのお付き合いを続けるためにパート勤めを始めたり貯金を崩すようになったとしたら、一体何をやっているのでしょうね?


セミナー主催者の告知ブログによくあるセリフに


「こんなに話しちゃっていいの?というくらい踏み込んだ内容が聞けます」


というのがありますが、その「踏み込んだ内容」とやらは「どっかに書いてある話」であり、金を払って聞く価値のある話ではないことは私が保証しますから安心してください。

もしもこれからハンドメイド販売を始めたいなら、やり方については何から何まで沢山出ているハウツー本に書いてありますし、参考サイトもありますから、それら見ながら自分自身で試行錯誤すればいいのですよ。






ハンドメイドは「誰でも簡単にできる副業」ではありませんが、「人によっては楽しくできる副業」であることは間違いないのです。
ヒルナンデスも「楽して儲かる」ではなく、「楽しく儲ける」という切り口でハンドメイドを紹介してくれるようになれば嬉しいですね。