◆ロスジェネ世代の一人として


旦那さんと一緒にサッカーを見ていたので今日は寝不足です。
でも、気分はいいですね。

私はスポーツが苦手なのでスポーツ鑑賞も好きではありません。けれど、オリンピックやW杯は何となく見てしまいます。
スポーツは好きじゃなくても祭典は好きなのでしょう。高揚感とか一体感とかそういうのが。


今回の試合で日本は負けてしまったけれど、日本のサッカーチームって20年かけて少しずつ強くなったんだなぁとしみじみしましたよ。
昔は予選リーグを突破するのが悲願だったのだし、悲願を達成していざトーナメント本戦に出場しても「もう見てられない」ってくらい試合開始から相手に翻弄されっぱなしで無様でした。
でも昨日の試合は夢が見れたし、互角でしたよね。


あの頃に比べてサッカーも変わりましたね。
昔のサッカーは一部の天才やスター選手の独壇場でしたが、今はチーム力で戦うスポーツになったんですね。チームワークが得意な日本人のチームが世界の強豪の一つとなる未来もありえるかもしれません。

長年活躍してきたベテラン勢はこの大会で引退でしょうが、いい卒業試合だったし、次の世代にしっかりバトンを渡したと思います。
選手の皆さんも監督さんもご立派でした。



さて、次の世代へバトンを渡すと言えば、前回の記事にも書いたHagexさんの事件がまだ尾を引いています。
人気ブロガー刺殺事件はネット云々の前に「ロスジェネの負け組がロスジェネの勝ち組を殺した」という側面でも衝撃でしたから、その視点からも色々な記事が書かれていますね。


私は犯人の松本さんと同い年なのですが、彼が九州大学出身(大学には8年在籍したらしいのですが卒業しているのかどうかは定かでありません。新聞報道では中退と書いている記事もありました)なのに、キャリアのスタートがラーメン店でアルバイトだという事実に驚きました。

旧帝大に入学できる優秀な頭脳を持っていた人が、非正規雇用でラーメンを作っていたなんて、何という人的資源の無駄遣いでしょう。
けれど、就職氷河期において松本さんのような人は決して珍しい存在ではなかった。


私も新卒での就職に失敗していますが、あの時代は大卒の就職率が65%でした。
国立大学を出ていてもまともな就職先がなく、MARCHの学生でさえ内定がもらえない人がいたり、早慶の学生であっても本人が希望する職種には就けない時代だったのです。



「せっかく大学に行ったのにもったいない」

「まだ若いのにもったいない」

「それだけの学歴とキャリアがあるのに、そんな仕事をしているなんてもったいない」

「お前には学費をかけたのに(お前には資格を取らせたのに)その程度とは、お金がもったいない」



そもそも新卒時点でまともな仕事に就けなかったり、やっとの思いで就職しても運悪く就職先がブラックで早々に辞めるしかなかったり、結婚や出産で正規雇用の仕事を辞め非正規に甘んじざるを得なかった人たちに、悪気なくかけられてきた他人の言葉や親の愚痴です。


それらの言葉に傷つけられてきた人、いっぱい居ますよね?


反論できなくて悔しいですよね。悔しくて恥ずかしくて外に出られなくなってしまった人たちはいったいどれだけ居るのでしょう。


私は非正規雇用でしか働いた経験がありません。現在も非正規です。これから先もずっとそうでしょう。
働いても低収入の私の生活が成り立ってきたのは、夫や実家のおかげです。
それは私の生涯のコンプレックスですが、40歳を過ぎた今はもうあまり気にしていません。
これが私の人生だったのですから。


私の同世代で同性の友人知人たちは、みんなが何かを諦め、何かが欠けた人生を送っています。
私たちが子供の頃や学生時代はまだ日本が裕福だったし、母親が専業主婦だった家庭も多かったので、概(おおむ)ね良い教育を受けてきました。
そして、キャリアと結婚と子供の全てを手にしなさいとすり込まれて大人になりました。

親の世代では、男は仕事だけしかしていないし、母親も家事と子育てと多少のパートだけしかしていなかったのに、子供の世代にはフルタイムで働きながら家事はきちんとして子供はちゃんと育てろと言うのですから呆れるばかりです。


結果的にほとんどの人は親世代の高い期待には応えられませんでした。全てを手に入れることも全ての役をこなすことも、「普通の人」には無理だったのです。

もちろん一通りのものを揃えることに成功した人たちだって一部には居るけれど、特等席に座れる「選ばれた子」は10人に1人くらいじゃないかしら。
そして、私は「選ばれなかった9人」の方。


特等席に座れなかった子の方が同世代のほとんどなのだから、高校の時の友人や大学時代の友人に会うと、みんな何かを持っていない。
キャリアは順調だけれど子のない人や二人目は無理な人。幸せな家庭生活を送っているけれど仕事は諦めた人。非正規未婚で実家暮らしの人も少なくはない。
みんな立場はそれぞれで生き方もバラバラになってしまったけれど、人生もここまでくると焦りや悲壮感はすでにありません。

「私たちってよくやってるよね。ちゃんと生きてるもの」

と笑い合い、お互いを労いながら、女たちは「選ばれなかった9人に含まれる自分」の現実を、静かに受け入れて生きているのです。



山本一郎さんが文春に書いた記事中の言葉「たぶん、私たちの世代は助からない」という言葉に、私はグッときたしグザッともきました。

たぶん、私たちの世代は助からない。年金の支給をアテにするつもりはないけれど、間違いなく逃げ切れる世代ではなく、これから物凄く日本経済が成長することはあるはずもなく、どこかから金が降ってくるとかカネが落ちてるとかいう幸運な恩恵の得られるラッキーパンチはほぼない。でも、踏ん張って生きていかなきゃいけない。そりゃストロングゼロが流行りますって。引きこもりも高齢化しますって。展望がなければ逃げるしかないって思う人、少なくないでしょう。

 ライトノベルじゃあるまいし、一発逆転、一獲千金などは無いのです。でも、何を頼りに生きていくか、何を守り、どう身を処すかを必死で考える最前線の世代が40代かもしれません。50代もしんどいかもしれないけど、私らの世代も相当なもんですよ。私、そのどまんなかの45さーーい。残された人は、涙を拭ってこの社会を生きていくしかないのです。年寄りの車椅子を押し、子供たちを背負いながら。

全文はこちらから→追悼・Hagex「来週飲みに行く約束はどうなったんだよ」


そう、私たちの世代は助からない。

私は近頃つくづく子供を産んでおいてよかったと思います。

なぜなら、私はとても利己的でわがままだから。性格だってひねくれてる。
「次世代」の中に自分の子供たちも含まれているからこそ「私の人生は次の世代の踏み台になるしかないのだ」と諦めることができたのだけれど、もしも子供がいなかったら、私は上手く諦めることができたかしらと思います。


次の世代が少しでも生きやすくなりますように。涙を拭って笑顔のバトンが渡せますように。
そうでなければ、ロスジェネって本当に救われません。