■頑張って手縫いしました

ちくちくちくちくちくちくちく


昨日はお裁縫嫌いな私が隙間時間に針を持ち、1日かけて祖母のお古の長襦袢を解いて自己流で裾除けと嘘つき袖を作りました。 
正絹の地紋が上品な襦袢だけど、生地も一部薄くなって傷んでいるし肩のあたりに茶色いシミが大きく浮いて汚いので捨てようかと思いましたが、捨てるくらいなら自分でハサミを入れてもいいだろうと思い立ちざっくりいきました。

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着物は上下に分かれた二部式襦袢が便利ですよね。
嘘つき袖もあればきっと便利です。
手持ちの二部式襦袢は裾除けが化繊で着心地が良くなかったため、正絹だと肌ざわりもよいし冬は暖かそう。うんうん、満足。


最近ママ友から着物についての本を数冊貸してもらって読んだことでふと思い立ち、一昨日家のタンスをひっくり返して手持ちの着物を全部出して整理してみたのですよ。

この本とっても良かったです。↓

池田 重子
アシェット婦人画報社
2006-12-21



着物は「こんなに着るのか?」というほど十分な枚数を持っていますが、自分であつらえたことは一度もありません。私にはお金を稼ぐ才能がなく、経済力が無いので自分用に新しく着物を仕立てられないからです。
安く済んでもさくっと数十万〜かかる贅沢品を恋人や夫にねだるほど厚かましくもありません。


だからたくさん持ってる着物のほとんどはお古です。
礼装用の紋付色無地と付け下げは母のお古。華やかというよりは派手やかな訪問着は書家である父方の伯母のお古。街着は母方の祖母のお古。普段着の紬は祖母や母のママ友のお姑さんのお古といった塩梅です。
もう今の時代に着物をきる人は珍しいので、着ると周囲に伝えれば「持っていても着ないから役立ててちょうだい」と譲ってもらえるのでありがたいですね。


あまりたくさんあっても全部は着ないので、柄が好きでなかったり色が似合わないものは私も着物好きの友人に譲りました。
貴金属のジュエリーなら買取に出せばまとまったお金になるのに、着物は作った時にはどんなに高価でも手放す時には二束三文にしかなりません。それなら着物好きな友人知人に譲って着てもらった方がいい。しまっておいても朽ちてしまうだけですから。


着物はたくさんもらったものの襦袢や帯が少ないのが残念なところ。着物だけあっても帯や小物がそろっていないと着られません。
当面は手持ちのもので工夫はしますが、そのうちアンティークなどで安くいいものが見つかればいいなと思います。


先日のオリンピックの閉会式で小池知事の着物姿に「帯を締める位置が3cm高い」とか「衣紋がきれいに抜けてない」「きちんと締めてないから着崩れている」「所作がなってない」とか重箱の隅をつつくような批判記事がネットに出回っていましたが、本当にくだらないですね。


着物は着るものでしょう。洋服は誰しも好きなように着ているしどんな着方をしようが間違っていると言う人はいません。
コーディネートできちんとしたものにカジュアルなものを合わせても「あえて外して抜け感を出しました」とか「カジュアルダウンしてよりおしゃれに」みたいに言われるのに、どうして着物は「着物と帯の格が違うのはおかしい!」「着物を着ているときはアクセサリーをつけないのが常識なのにイヤリングをするなんてけしからん」「半幅帯で外出するなんて昔は考えられなかった」「季節の模様は先取りがするのが粋、丁度に着るのは野暮」とかいちいちギャーギャー言われるのでしょう。


年寄りがもはや時代に合わない決まりごとにいつまでも固執してケチをつけるから、「着るもの」じゃなくなってしまうんですね。若い人はお年寄りに「あなたの洋服の着方は間違っている。コーディネートのルールがわかっていない。」なんて口うるさく言ったりしないのにね。


伝統的な着物姿も素敵ですが、私はしきたりにとらわれず自由な着こなしを楽しんでいる若い人達の着物姿が好きです。
とは言っても小悪魔アゲハという雑誌が流行った頃には、着物姿と言っても花魁や夜鷹のようないでたちの成人式帰りのお嬢さん方が居て、それには流石に度肝を抜かれましたけどね。


ボディラインを寸胴に補正して帯をきつく締めるシワがよらない着付けも見た目にはきれいだと思いますが、あれは苦しくてとても長時間着ていられないし食事もできない。私は3時間〜5時間でギブです。
だいたいシワがよらないきれいな着付けは脱ぐと紐でがんじがらめだしタオルだらけで色っぽく無いですよね。


着物は着るのに準備が大変だし片付けるのも手間なので滅多に着ませんが、せっかく持っているのだからもう少し着る機会を増やそうと思います。
自己流のゆるい着付けで。