■イギリスって貧しい国になっちゃったんだなぁ、って日本もか

イギリスのEU残留か離脱かを問う国民投票のゆくえに注目しています。

このブログでも何度か書いてますが、私は20歳から22歳にかけて、2年3ヶ月の間ロンドンで暮らしていました。
あの当時の日本はまだ豊かで、ロンドンには留学生のみならず企業の駐在員やその家族、観光客など日本人がたくさんいました。


バブルはとっくに弾けていたものの日本企業の業績は好調でしたし、銀行や山一証券も破綻する前だし、ロンドンには若い女の子たちが大挙してお買い物旅行にやってきて、あの頃ナイツブリッジ(日本で言うところの銀座の並木通り)の買い物客は半分が日本人でした。

私も日本から遊びに来てくれた友人たちを何人も案内しましたが、みんなが高級ブランド店で何万円もするバッグや服、時計を気前よく買っていく様子を呆れるやら感心するやらで口を開けて眺めていたものです。


進学先の美大は違ったものの高校の時同じ画塾に通っていた同級生や、大学で仲がよかった子たちです。みんな決して大金持ちのおうちの子ではありません。
どうしてそんな大金を持っているのか不思議に思って聞いてみたら、ロンドン旅行のために数ヶ月間大学近くのキャバクラで働いてきたとか、海外旅行に行くならお金がいるだろうと親や親戚がお小遣いを弾んでくれたのだと言ってました。

今では信じられない話です。
今はもう若い女の子がキャバクラで働いたところで短期間に何十万ものお金を作るのは無理でしょうし、親や親戚だって大きくなった娘にお小遣いを弾んでられるほど余裕はありません。



あのころは日本もお金持だったけれど、ロンドンもまた金融ビッグバンとやらでCity(金融街)が好景気に沸いていました。
北アイルランド問題を抱えていたのでテロと無縁なわけではなかったけれど、今ほど治安に多くの問題や不安を抱えてはおらず、牧歌的な時代でした。


私は最初の半年間はホームスティ、あとの期間は一人暮らしをしていましたが、一人暮らしのワンルームで1ヶ月の家賃は、当時のレートで計算して10万円ほど。小さい部屋だったけれどバスルームが広く、便利で治安の良いエリアで、家具と家電、電話回線は備え付け、水道代と電気代は込み、敷金礼金は無しでなかなか良い物件でした。

今は当時に比べてロンドンの賃貸物件の家賃相場は2倍に跳ね上がっているそうです。
東京でも賃貸住宅の家賃がどんどん値上がりしているそうですが、倍になったらもう払える金額では無いですよね。


所得が上がっているわけでもなく、むしろ下がっているのに生活コストは倍になったんじゃ普通に生活するのはもう無理です。


EU離脱派と残留派の支持率は拮抗しているようですが、「このままではもう普通に暮らしていけない」と、ジリジリ悪くなっている生活への苛立ちが人々の間で高じているのだとニュースを見ていて感じました。


舛添さんが都知事を辞職する件についても、「石原慎太郎のほうが政治資金の私的流用はひどかった」なとど言われていますが、石原さんが都知事になったのって一体いつの話だっけ?
ヒルズ族とかいう言葉が出てきたITバブルと言われた頃で、トーキョーも浮かれてた頃じゃ無かったっけ?


「オレたちの納めた税金で生活してやがるナマポ(生活保護受給者)がパチンコやるなんてケシカラン!取り締まれぇえ!」なんて言う人も、あの頃はまだ世間のどこにも居なかったよね?


10年前や20年前なら誰も目くじら立てて憤らなかったことが、今では許されなくなったのだなと思います。

私だって思うもん。
「東京のトップなんだから出張はファーストクラスにスイートルームでないと恥ずかしいでしょう?」
とぬけぬけと言ってのける舛添さんに対してだけでなく、40代以上の女友達で未だに若い頃に覚えた消費感覚が抜けない人に対して、「キサマ一体いつまでバブル時代の姫気分でいるつもりだ?」って。

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