■気の滅入る日だからこそ読書

連日の地震のニュースに、胸の苦しい思いがします。
そして、高知でも南海トラフの巨大地震がもう間も無く来るのかもしれないと思うと、そこはかとない不安が胸に沈殿して、心が底の方から濁ってゆきます。


テレビで報道特番などを見過ぎてしまうとしんどいので、こんな日だからこそ読書をしています。

今日読み終わったのはこちらの1冊。「色を奏でる」です。


色を奏でる (ちくま文庫)
志村 ふくみ
筑摩書房
1998-12



著者の志村ふくみさんは染色家で紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)であり、随筆家でもあります。

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私はこんなにも美しい本を、随分と久しぶりに読みました。
彼女の紡ぐ言葉は正しく、美しい。美しさの中には艶めいた色香が漂い、行間にふと垣間見える厳しさにひやりとし、私はページを繰りながら吐息をつかずにいられないのです。

私は染色の世界に知識が乏しいけれど、文章を追っていくうちに染物の色が匂うような、ありありと目の前に情景が浮かぶような心持ちがするのでした。


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この本では色が匂うように、言葉もまた嫋(たお)やかで芳(かぐわ)しい。
 

あぁ、美しい一冊だ。


私は一度読んだ本を片端から端末から削除してしまったり、ブックオフへ投げ出してしまったりするので、数多くの本を読みながらも私の書棚に本は少ないのです。
棚に残し常に身近に置きたいと思うほどの本が少ないので。

しかし、この本は棚にさすその前に、いつも鞄に忍ばせて繰り返し読みたいと感じる本です。


この本は先日大阪へ行った時、梅田 蔦屋(つたや)書店で購入しました。エスカレーターを上がってすぐ目の前の平台に積まれており、店内でお客さんに最も目につく場所にこの本を平積みでおくセンスには、さすが本のコンシェルジェを置く書店だけはあると唸(うな)らされますね。

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